集めた情報をどう活かす?顧客管理の基本
問い合わせフォームも資料ダウンロードフォームも完成しました。これで、訪問者の情報が自動的にHubSpotに蓄積されていきます。
でも、「情報を集めるだけ」では意味がありません。
集めた情報を活かして、適切なタイミングで適切なアプローチをする。
これこそが、HubSpotの真価です。そして、多くの人が「難しそう」と敬遠してしまうのも、この部分なんです。
でも、安心してください。基本的な使い方は、本当にシンプル。この章で、初心者の方でもすぐに使いこなせるように、丁寧に説明していきます。
コンタクト(顧客情報)の確認方法
まず、HubSpotに蓄積された情報を見てみましょう。
基本の見方
HubSpotダッシュボードにログインします。
画面左側のメニューから「コンタクト」をクリックすると、メニューが展開されます。
「コンタクト」を選択すると、コンタクト一覧画面が開きます。
すると、フォームから送信された人のリストが表示されます。
表示される情報:
- 名前
- メールアドレス
- 最後のアクティビティ(いつサイトを訪問したか、フォームを送信したか)
- リードステータス(見込み客の段階)
まだフォーム送信が一件もない場合は、リストは空っぽです。でも、これから少しずつ増えていきます。
個別のコンタクトを詳しく見る
リストの中から一人をクリックすると、その人の詳細情報が表示されます。
詳細画面で確認できること:
基本情報(左側のパネル)
- 姓・名
- メールアドレス
- 電話番号
- 会社名
- その他、フォームで入力してもらった情報
この情報は、後から手動で追加・編集することもできます。たとえば、電話で話した内容をメモとして追加したり。
アクティビティ(中央のタイムライン)
これが非常に重要です。その人が「いつ・何をしたか」が時系列で記録されています。
記録されるアクティビティの例:
- フォーム送信:「○月○日、問い合わせフォームを送信」
- ページ閲覧:「○月○日、料金ページを閲覧」
- メール開封:「○月○日、送ったメールを開封」
- メールクリック:「○月○日、メール内のリンクをクリック」
- サイト訪問:「○月○日、サイトに訪問(3ページ閲覧)」
これが何の役に立つか?
たとえば、こんな情報がわかります:
「この人、問い合わせの後も何度もサイトに来ている。かなり興味があるな」
「料金ページを5回も見ている。価格が気になっているのかも」
「メールは開封しているけどクリックしていない。内容に興味がないのかな」
「1週間前に資料をダウンロードしたきり。そろそろフォローしてみようか」
つまり、相手の興味関心や検討段階を推測できるんです。
これがあれば、「いきなり営業電話をかけて嫌がられる」なんてことが減ります。「この人はまだ情報収集段階だから、まずは有益な情報を送ろう」「この人は具体的に検討しているから、見積もりを提案してみよう」といった判断ができるようになるんです。
コミュニケーション履歴
その人に送ったメールや、行った電話の記録も残せます。
記録できること:
- 送信したメールの内容
- 電話をかけた日時と内容
- 会議の議事録
- 次回のフォローアップ予定
これがあれば、「あれ、この人に前回何を話したっけ?」と困ることがなくなります。特に、複数の担当者で対応している場合、情報共有がスムーズになります。
コンタクトにメモを追加する方法
詳細画面で、メモを追加できます。
タイムライン上部の「メモ」アイコンをクリックします。
メモを入力します。
例:「電話で話した内容:予算は50万円程度。来月中に決めたいとのこと」
例:「次回フォロー:11月15日に見積もりを送る予定」
「保存」をクリックします。
メモはタイムラインに記録され、後から簡単に見返せます。
コンタクトに電話をかけた記録を残す
タイムライン上部の「通話」アイコンをクリックします。
通話の情報を入力します。
- 通話日時
- 通話時間
- 通話内容(メモ)
- 結果(つながった、不在だった、など)
「保存」をクリックします。
これで、「いつ・誰が・どんな話をしたか」が記録されます。
コンタクトにタスク(TODO)を設定する
「この人に1週間後にメールを送る」といったタスクも設定できます。
タイムライン上部の「タスク」アイコンをクリックします。
タスクの内容を入力します。
- タスク名:「見積もりメールを送る」
- 期限:2025年11月15日
- 担当者:自分
「保存」をクリックします。
期限が近づくと、HubSpotから通知が来ます。「あ、忘れてた!」ということが減ります。
リストの活用方法
個別のコンタクトを見るのも大切ですが、もっと効率的に管理するには「リスト」機能を使います。
リストって何?
リストとは、特定の条件に合うコンタクトを自動でまとめる機能です。
たとえば:
- 「資料Aをダウンロードした人」だけのリスト
- 「先月問い合わせをした人」だけのリスト
- 「料金ページを3回以上見た人」だけのリスト
- 「メールを開封していない人」だけのリスト
こうしたリストを作っておくと、「この条件に当てはまる人全員にメールを送る」といったことが簡単にできます。
リストの作成方法
ステップ1:リスト画面を開く
「コンタクト」→「リスト」をクリックします。
「リストを作成」ボタンをクリックします。
ステップ2:リストのタイプを選択
HubSpotには2種類のリストがあります。
アクティブリスト(動的リスト)
条件に合う人が自動で追加・削除されるリスト。
例:「過去30日間にサイトを訪問した人」というリストを作ると、新しく訪問した人は自動で追加される。30日を過ぎた人は自動で除外される。
スタティックリスト(静的リスト)
一度追加したら、自動では変わらないリスト。手動で追加・削除する。
どちらがいい?
初心者の方は、まず「アクティブリスト」を使うことをおすすめします。自動で更新されるので、管理が楽です。
「アクティブリスト」を選択して、「次へ」。
ステップ3:リスト名を入力
わかりやすい名前をつけましょう。
例:
- 「資料ダウンロード者(過去30日)」
- 「問い合わせ者(11月)」
- 「メール開封者」
- 「料金ページ閲覧者」
ステップ4:フィルター(条件)を設定
ここが少し難しく感じるかもしれませんが、慣れれば簡単です。
例1:「サービス資料をダウンロードした人」のリストを作る
「フィルターを追加」をクリックします。
「フォーム送信」を検索して選択します。
「次の値のいずれか」を選択します。
作成したフォーム名(例:「サービス資料ダウンロード」)を選択します。
保存します。
これで、「サービス資料ダウンロードフォームを送信した人」だけのリストができました。
例2:「過去30日間にサイトを訪問した人」のリストを作る
「フィルターを追加」をクリックします。
「ページビュー」を検索して選択します。
「過去」を選択します。
「30日間」を入力します。
保存します。
例3:「料金ページを3回以上見た人」のリストを作る
「フィルターを追加」をクリックします。
「ページビュー」を選択します。
「ページURL」を選択します。
料金ページのURL(例:https://yoursite.com/pricing/)を入力します。
「訪問回数が」「3回以上」と設定します。
保存します。
複数の条件を組み合わせることもできます。
たとえば:
- 「資料をダウンロードしたけど、まだ問い合わせしていない人」
- 「メールを送ったけど、開封していない人」
- 「東京都在住で、料金ページを見た人」
AND(かつ)やOR(または)で条件を組み合わせられます。
ステップ5:リストを保存
条件を設定したら、「リストを保存」ボタンをクリック。
すると、条件に合うコンタクトが自動でリストアップされます。
リストを見る
作成したリストは、「コンタクト」→「リスト」から見られます。
リスト名をクリックすると、そのリストに含まれる人が表示されます。
「あ、この人たち全員に、新商品のお知らせメールを送ろう」
こんな風に、簡単にターゲットを絞ってアプローチできるんです。
メール配信での活用
リストができたら、次はメールを送ってみましょう。
HubSpotのメール配信機能を使えば、作成したリストに対して、一斉にメールを送ることができます。
メール配信の手順
ステップ1:メール作成画面を開く
「マーケティング」→「Eメール」をクリックします。
「Eメールを作成」ボタンをクリックします。
ステップ2:メールのタイプを選択
通常のEメール
リストに対して一斉送信するメール。ニュースレター、お知らせ、キャンペーンなどに使います。
自動Eメール
特定の条件を満たした時に自動で送信されるメール(有料プランで本格利用可能)。
初めての方は「通常のEメール」を選択。
ステップ3:テンプレートを選択
HubSpotには、あらかじめ用意されたメールテンプレートがあります。
おすすめ:
- シンプルなテキストベースのテンプレート
- 1カラムのシンプルなデザイン
凝ったデザインより、シンプルで読みやすいメールの方が、開封率・クリック率が高い傾向があります。
テンプレートを選んだら、「このテンプレートを使用」。
ステップ4:メールの内容を作成
エディタが開きます。ドラッグ&ドロップで簡単に編集できます。
設定する項目:
送信者名
あなたの名前、または会社名。
例:「株式会社○○ 田中」「moribito works」
送信者メールアドレス
返信を受け取れるメールアドレスを設定。
件名
メールの件名。開封率に大きく影響するので、工夫しましょう。
件名のコツ:
- 短く(25文字以内が目安)
- 具体的に(「お知らせ」より「新サービス開始のお知らせ」)
- 相手にメリットを伝える(「無料相談キャンペーン実施中」)
- 個人名を入れる(「{名}様、新しいガイドができました」)
プレビューテキスト
件名の次に表示される補足文。これも重要です。
例:
件名:新サービス開始のお知らせ
プレビュー:初月無料キャンペーン実施中です
本文
テンプレートの文章を、あなたの内容に書き換えます。
メール本文のコツ:
- 冒頭で結論を:長い前置きは不要。最初に「何のメールか」を明確に。
- 短い段落で:2-3行で改行。長い文章は読まれません。
- パーソナライズする:「{名}様」など、名前を入れると開封率が上がります。
- 1つのメールに1つの目的:あれもこれも伝えようとしない。
- 明確なCTA(行動喚起):「詳しくはこちら」「今すぐお申し込み」など、してほしいことを明確に。
メール本文の例:
{名} 様
いつもお世話になっております。 株式会社○○の田中です。
先日は、サービス資料をダウンロードいただき、 ありがとうございました。
資料はご覧いただけましたでしょうか?
もし、ご不明点やもっと詳しく知りたいことがございましたら、 30分の無料相談も承っております。
【無料相談を申し込む】 リンクを設置
お気軽にご相談ください。
株式会社○○ 田中太郎
メール:tanaka@example.com
電話:03-1234-5678
ステップ5:リンクを設定
メール内のボタンやテキストに、リンクを設定します。
リンクを設定したいテキストやボタンを選択します。
リンクアイコンをクリックします。
リンク先のURLを入力します(例:お問い合わせページ、商品ページ、ブログ記事など)。
「新しいタブで開く」にチェックします。
ステップ6:送信先リストを選択
画面上部の「設定」タブをクリック。
「受信者」セクション:
「リストから選択」をクリックします。
先ほど作成したリスト(例:「資料ダウンロード者」)を選択します。
これで、そのリストに含まれる全員にメールが送信されます。
ステップ7:テスト送信
いきなり全員に送る前に、必ずテスト送信しましょう。
画面右上の「テスト送信」ボタンをクリックします。
自分のメールアドレスを入力します。
「送信」をクリックします。
テストメールが届いたら、以下を確認:
- 件名は正しいか
- 本文の誤字脱字はないか
- リンクは正しく設定されているか
- スマホで見ても読みやすいか(スマホで確認)
- 画像は表示されているか
ステップ8:送信予約または即座に送信
すべて問題なければ、送信します。
選択肢1:今すぐ送信
「送信」ボタンをクリック。すぐに全員に送信されます。
選択肢2:送信予約
「スケジュール」を選択して、日時を指定。指定した時刻に自動で送信されます。
おすすめの送信時刻:
- BtoB(企業向け): 平日の午前10時、または午後2時頃
- BtoC(個人向け): 平日の夜8時頃、または土日の午前中
ただし、これは一般論。あなたのターゲット層の生活リズムに合わせて調整しましょう。
送信後の効果測定
メールを送信したら、どれだけの人が開封したか、クリックしたかを確認できます。
レポートの見方
「マーケティング」→「Eメール」を開きます。
送信したメールをクリックします。
「パフォーマンス」タブを開きます。
確認できる数字:
開封率
送信数のうち、何%の人がメールを開封したか。
一般的な目安:15-25%
30%以上なら優秀
10%以下なら件名や送信者名を見直す
クリック率
メール内のリンクを何%の人がクリックしたか。
一般的な目安:2-5%
10%以上なら優秀
1%以下ならメール内容やCTAを見直す
バウンス率
メールが届かなかった割合。
2%以下なら問題なし
5%以上なら、リストに古いメールアドレスが多い可能性
配信停止率
メールの配信を停止した人の割合。
0.5%以下なら問題なし
1%以上なら、送信頻度が高すぎるか、内容が求められていない可能性
この数字を見て、次のメールを改善していきます。
たとえば:
- 開封率が低い → 件名を変えてみよう
- クリック率が低い → CTAをもっと明確にしよう
- 配信停止が多い → 送信頻度を減らそう
効果測定の見方(初心者向け)
HubSpotには、たくさんのレポート機能があります。でも、初心者の方が最初から全部を見る必要はありません。
まずは、この3つの数字だけ見ればOKです。
1. フォーム送信数の推移
「問い合わせや資料ダウンロードが、どれだけ増えているか」を見ます。
確認方法:
- 「レポート」→「ダッシュボード」
- 「フォーム送信数」のグラフを確認
見るべきポイント:
- 月ごとに増えているか?
- どのフォームが一番使われているか?
- 曜日や時間帯で傾向はあるか?
例:
- 「土日の方が送信が多い → BtoC向けだな」
- 「火曜日と水曜日が多い → BtoBで担当者が動きやすい曜日かな」
- 「資料ダウンロードが問い合わせの3倍 → まず資料で情報収集する人が多いんだな」
この情報があれば、「土日にSNS投稿を増やそう」「火曜にメール配信しよう」といった戦略が立てられます。
2. どのページからフォーム送信されているか
「どのページが、問い合わせにつながっているか」を見ます。
確認方法:
- 「マーケティング」→「リードの獲得」→「フォーム」
- 該当フォームをクリック
- 「パフォーマンス」タブを開く
- 「送信元ページ」を確認
例:
- 「サービス紹介ページからの送信が一番多い → このページは効果的だ」
- 「ブログ記事Aからの送信が多い → この記事のテーマが響いているな」
- 「料金ページからの送信は少ない → 料金ページを改善しよう」
成果の出ているページをもっと強化したり、成果の出ていないページを改善したりできます。
3. メール開封率とクリック率
メール配信をしている場合、その効果を確認します。
確認方法:
- 「マーケティング」→「Eメール」
- 送信したメールをクリック
- 「パフォーマンス」タブで数字を確認
初心者が見るべき数字:
開封率:
- 20%以上 → 良好
- 15-20% → まずまず
- 15%以下 → 件名や送信者名を改善
クリック率:
- 3%以上 → 良好
- 1-3% → まずまず
- 1%以下 → メール内容やリンクの置き方を改善
最初は完璧を目指さなくて大丈夫。
まずはメールを送ってみて、数字を見て、少しずつ改善していく。これが正しいアプローチです。
次は「HubSpot以外の選択肢も紹介」


