ホームページやランディングページ(LP)などのサイトを作るとき、WordPress(ワードプレス)の仕組みを使えば、プログラミング言語を知らない初心者の方でも比較的簡単に作り上げ、自分たちで更新していけます。

それでは、WordPressとは、具体的にどんなものでしょうか。ネット検索しても専門用語が多すぎて理解できない……。そうお悩みの方に向けて、わかりやすくまとめました。WordPressを利用したサイト制作の手順や注意点についてもご紹介していますので、参考にしてください。

WordPressが支持される4つのポイント

WordPressとは、サイトを手軽に作り、記事や画像を追加していける仕組みのひとつです。そうした仕組みは「コンテンツ管理システム(CMS)」と総称されますが、WordPressはこのうちの代表格です。ITコンサルティング会社のQ-Success(オーストリア)によれば、世界のサイトの4割以上は、WordPressを利用しています(出典:Content Management Systems Market Report)。

WordPressを利用する際は、まずサイト情報を発信するコンピューター環境(サーバー)を用意します。通常は、レンタルサーバー会社と契約します。サーバー会社でも、WordPress利用者は多いので、サーバーの管理パネルから簡単にプログラムを入れられるように対応しています。

WordPressが広く支持される背景には、以下の点があります。

1:誰でも無料で利用できる

WordPressは誰でも、無料で利用できます。2000年代初めにアメリカで誕生して以来、もとになるコードが一般公開されており、世界中の有志によって改良が重ねられています。最新プログラムはいつでも入手できます。日本語にも対応しています。

2:専門知識がなくても制作・運営できる

プログラムの入手や利用は、専門知識のない初心者でもできます。管理画面も、プログラミング言語を使わずに操作できます。

さらに、WordPressには、サイトの骨格となるテンプレート(テーマ)が多数用意されています。テンプレートを選択して、その骨格を利用し、テキストや画像などを入れる仕組みです。

テンプレートは、公式サイトから入手できる無料版だけでも10,000種類近くあります。このほかに有料版が多数あります。最適なものを選んで取り込めば、サイトの土台ができあがっていきます。手軽にサイトを制作・運営できるのがWordPressの最大の魅力です。

3:低コストで実現できる

WordPressでは既成のテンプレートを利用しますので、ゼロから作る手法に比べて制作・運営費を抑えられます。

サイトをゼロから作る場合には、デザイナー、プログラマーらが長く作業に従事するので費用が高くなりやすいです。しかし、WordPressであれば、テンプレートをもとに自分で作ることができます。サイト作りを制作会社などに依頼する場合も、ゼロから作る場合に比べて低コストです。

4:多彩な機能を追加できる

WordPressでは、自分たちに必要な機能をいろいろ追加できます。例えば、次のような機能です。

  1. サイト来訪者からメールで問い合わせを受ける仕組み
  2. 迷惑なメール(スパム)の排除
  3. ページごとの目次の自動作成
  4. スライド画像の表示
  5. 人気記事・関連記事の自動表示
  6. 掲載商品などの絞り込み検索の設定
  7. 会員登録・会員専用ページの設定

これはほんの一例です。多彩な追加プログラム(プラグイン)が用意されていて、専門知識がなくても手軽に追加できます。

5:参考になるネット情報がたくさんある

WordPressは広く利用されていますので、利用者向けの情報は、ネット上にたくさんあります。このため、何かわからないことがあっても、手軽に参考情報を入手できます。いつも新しい情報を入手しながらサイトを守り育てていける環境が、WordPressには準備されています。

Wixやブログサービスとどう違う?

WordPressの方がより本格的なサイトを作れる

WordPress Wixなど
手軽さ サーバーの知識は必要
費用 無料(サーバー代が必要) 広告非表示のプランは有料
デザイン 制約が多い
セキュリティー対策 自身で行う必要
サポート 自身で解決する必要
長期所有 サービス終了時には利用できなくなる

手軽にサイトを作る方法としては、WordPressのほかに、Wix(ウィックス)やJimdo(ジンドゥー)などのホームページ制作サービスや、Ameba(アメーバ)ブログなどのブログサービスがあります。WordPressは、これらとどう違うのでしょうか。

上記に比較表をまとめましたのでご参照ください。端的に言えば、WordPressは、より本格的なサイトを作りたいときに向いており、WixやAmebaなどは、より簡単にサイトをまとめたいときに適しています。詳しくみてみましょう。

比較1:WixやJimdoとの違い

ホームページ制作サービスの代表格は、以下のところです。

  1. Wix:イスラエル生まれの国際的なサービス
  2. Jimdo:ドイツ生まれで、日本語版はKDDI子会社が運営

これらは広告が表示される無料版と、広告非表示の有料版を運営しています。有料版では、独自ドメインを利用できるプランもあります。独自ドメインとは「〇〇〇.com」「〇〇〇.net」などのインターネット上の住所のことです。

WixやJimdoなどが選択肢に入ってくるのは、次のようなときです。

  1. 企業が名刺代わり程度の小さなサイトを作りたいとき
  2. シンプルなブログサイトを始めたいとき
  3. とりあえずサイトを試作したいとき

WordPressでサイトを作る際は、レンタルサーバーと契約して、サーバーにWordPressを取り込むなどの作業が必要です。プログラミング言語を知らなくてもできますが、ネット操作が苦手な人には少しハードルが高いかもしれません。さらに、WordPressでは、セキュリティー対策も、専用の追加プログラム(プラグイン)を加えるなどの対策を自分でしなければなりません。

これに対してWixやJimdoなどであれば、サービス事業者が用意しているサーバーにサイトを作る仕組みですので、自分でサーバーを用意する必要はありません。初心者でも直感的な操作で作れます。セキュリティー対策も事業者に任せられますから、より手軽に作りたいときには、おすすめです。

しかし、デザインや機能面ではWordPressに軍配が上がります。WordPressには無料版だけでも10,000種類近いテンプレートがありますが、Wixのテンプレートは500種類を超える程度です。途中で別のテンプレートに変えることもできません。Jimdoのテンプレートは40種類ほどです。

もしWixやJimdoなどの利用をお考えであれば、まずは無料プランや無料お試し期間を生かして試用することをおすすめします。

比較2:ブログサービスとの違い

代表的なブログサービスとしては以下のところが挙げられます。

  1. Amebaブログ(アメブロ)
  2. FC2ブログ
  3. ライブドアブログ
  4. はてなブログ
  5. note

ブログとは、日記風に時系列でまとめるサイトのことです。これらは、Wixなどのホームページ制作サービスよりもさらに簡単に利用できます。ブログサービスなら、ユーザー登録すれば、手軽に書き始められます。しかし、デザインや機能は、WordPressやホームページ制作サービスよりもシンプルです。

ブログサービスが選択肢に入ってくるのは、簡単にブログを始めたいときです。それでも、WordPressで作ったブログサイトに比べれば、デザインや機能が簡素ですので、目的に合ったサイトになるかどうか見極めましょう。

補足:WordPress.comとWordPress.orgの違い

有力なブログサービスのひとつに「WordPress.com」があります。ユーザー登録すれば、手軽にサイトを持てます。ただし、使用できるテンプレートや機能には大きな制約があります。

これは、WordPressのプログラムを活用したブログサービスです。それに対して、WordPressのプログラムをダウンロードできる公式サイトは「WordPress.org」です。混同しやすいのでご注意ください。

WordPress導入の手順

次に、WordPressを利用して実際にサイトを作る手順をみていきましょう。おおまかな流れをつかめるように、ポイントをかいつまんでご紹介いたします。

1:レンタルサーバーを借りる

どんなサイトを作るときにも、サイト情報を発信するサーバーが必要です。WordPressの場合、レンタルサーバーと契約するのが一般的です。

WordPressに対応している国内の有力レンタルサーバーには、次のところがあります。

  1. エックスサーバー
  2. ConoHa WING
  3. mixhost
  4. ロリポップ!レンタルサーバー
  5. さくらのレンタルサーバ

これらはほんの一例であり、WordPress対応のレンタルサーバーは多数あります。費用はどんなプランを利用するかによって異なりますが、概して月額500~1,500円(税込み)ほどです。

例えば、大手のエックスサーバーの場合、最安のスタンダードプランは初期費用が3,300円、月額費用が1,100円(自動更新設定による6カ月契約時)です。このプランでも基本的に、数十ページを超える中規模サイトを複数運営できます。

2:ドメインを取得する

レンタルサーバーと契約したら、次に、サイトのドメインを取得します。ドメインとは、前述のとおり、「〇〇〇.com」「〇〇〇.net」などのインターネット上の住所のことです。

エックスサーバーなどの大手レンタルサーバーでは、管理画面上でドメインを取得できます。希望のドメインを検索して、もし誰も使っていなければ、そのまま購入できます。取得費用は、一般的な「.com」「.net」などは初年度が1,000円ほどで、毎年1,000~3,000円ほどの更新費用がかかります。レンタルサーバーによってはドメインの取得・更新費用を無料にするキャンペーンをするところもあります。

3:WordPressを入れる

レンタルサーバーにドメインを設定するのは、管理画面のクリック操作で可能です。次に、サーバーにWordPressのプログラムを取り込み、サイトを作っていきましょう。例えば、エックスサーバーであれば、管理画面に「WordPress簡単インストール」という項目があります。WordPressの公式サイトから入手する必要なく、簡単に取り込めます。

レンタルサーバーによって手順が若干異なりますが、この時点でドメインのSSL化(暗号化)という作業も済ませましょう。多くの場合、管理画面に「SSL化」という項目があり、そこで無料の手続きができます。これによってユーザーが問い合わせフォームに入力した情報も暗号処理され、第三者に盗用される恐れが減ります。インターネット上の住所には「http」ではなく、「https」という表記が付き、Googleなどの検索エンジンからも安全なサイトと認められます。

4:サイトの骨格を組み立てる

以上でレンタルサーバー上の作業は完了です。WordPressサイトの土台はできましたので、インターネット上でサイトのURL情報を打ち込み、編集画面を呼び出して、骨組みを組み立てていきましょう。

重要なのは、サイトの目的を明確にして、目的に合わせたページを作ることです。例えば、企業ホームページを制作し、求人応募を増やしたい際には、以下のページを加えるのが一般的です。

  1. トップページ
  2. 会社概要
  3. 事業紹介
  4. 採用情報
  5. 先輩社員からのメッセージ
  6. 問い合わせフォーム

サイトの目的とおおまかなページ構造が固まったら、最適なテンプレート(テーマ)を実装します。その上で必要なページを新設し、ページの冒頭に画像を入れるなどのデザイン設計もしていきましょう。

5:コンテンツを盛り込む

サイトの骨格ができたら、次に、画像や見出し、文章などのコンテンツを盛り込みます。仕上がったら公開しましょう。

WordPressで失敗しないための注意点

WordPressに慣れないうちは、必要な作業を見落とすなどの失敗も起こりがちです。そこで、特に気をつけたいポイントを整理しておきます。

1:セキュリティー対策を忘れずにしよう

ホームページ制作サービスやブログサービスでは、そのサービスを提供する事業者にセキュリティー対策を任せられますが、WordPressでは、自身で対策を講じなければいけません。サイトを乗っ取られたり、情報を盗み取られたりしないように、基本的な対策を心がけましょう。

主要なセキュリティー対策は、以下の点になります。

  1. 強力なパスワードを設定して随時更新する
  2. プログラムを最新版に更新する
  3. Googleが提供するスパム対策「reCAPTCHA(リキャプチャ)」を導入する
  4. セキュリティー対策の追加プログラム(プラグイン)を利用する
  5. レンタルサーバーのセキュリティー対策を利用する

2:表示速度が遅くならないように意識しよう

せっかくきれいにサイトをデザインしても、端末画面に表示されるスピードが遅ければ、ユーザーがストレスを感じて離脱します。このため、表示速度が遅くならないように注意しましょう。

表示速度が遅くなる原因としては、特に以下の点が考えられます。

  1. ファイル容量の大きな画像をそのまま利用してしまう
  2. 追加プログラム(プラグイン)を多く使いすぎる

大きな画像をそのまま掲載すると、表示速度は遅くなっていきます。画像容量を圧縮する方法は、ネット上の無料サービスを利用したり、専用の追加プログラムを利用したり、いろいろありますので対策を講じましょう。

このほかに表示速度を速くする対策も考えらますが、まずはこの2点に留意するところから始めるとよいでしょう。

3:SEO対策にも挑戦してみよう

Googleなどの検索エンジンで、検索結果の上位に表示されると、それだけ多くのユーザーの目に留まり、サイト来訪者が増えます。このため、検索エンジンで上位表示されるための対策(SEO=検索エンジン最適化)には留意しておく必要があります。

最低限のSEO対策は行い、少しでも早く、的確に検索されることを目指したいものです。例えば、画像を掲載するときに、画像がどんな内容なのかを説明する文字情報(代替テキスト)を加えるようにしましょう。サイトの中身をチェックするGoogleのロボットは、まだ画像認識能力が高くありません。そこでロボットに文字情報を伝え、サイト内容をアピールします。WordPressであれば、こうした細かいSEO対策を仕込めますので挑戦してみてください。

4:公開後はコンテンツを更新していこう

サイトの公開は「ゴール」でなく、「スタート」です。公開後に、どれだけコンテンツを充実させていくかによって、ユーザーの満足度は違ってきます。Googleなどの検索エンジンも、更新状況を踏まえてサイトの評価を変えてきます。公開後の更新は重要ですので対策に留意しましょう。

制作依頼時のチェックポイントとは

WordPressは初心者の方でも運用していける仕組みですが、サイト制作の際、サーバーなどの作業がやや難しく、どんなテンプレートでどう設計するか判断に迷うこともあります。このため、現実的には専門家のサポートが必要なケースも少なくありません。もし制作を依頼するなら、どんな点に注意すればいいのでしょうか。

1:制作目的を明確に伝えよう

まず大切なのはサイトを作る目的をはっきり伝えることです。

例えば、企業がサイトを作る目的としては、次のことが考えられます。

  1. 名刺代わりに最低限のホームページを用意したい
  2. 自社事業を伝えて新規取引先を開拓したい
  3. 求職者に自社を知ってもらい、採用を増やしたい
  4. 自社サービスの利用者を増やしたい
  5. サイト上で商品を販売したい

制作目的によって、サイトの骨格や中身は大きく変わってきます。必要な費用も異なります。無駄なく、目的に合ったサイトになるように、依頼先にしっかりと伝え、最適な提案を求めましょう。

2:参考サイトを挙げてイメージを共有しよう

希望のサイトイメージを制作者に伝えるためには、イメージに近いサイト例を挙げるのが効果的です。認識の違いから的外れなサイトにならないように、その参考サイトのどんな点がイメージに近いのか、できるだけ詳しく伝えましょう。

WordPressでは、選択するテンプレートによってサイトの仕上がり具合が変わってきます。このため、テンプレートの中から希望に近いものを選んで依頼先に相談してもいいでしょう。テンプレートによってはデモサイトが用意されているので、それを伝えるとよいでしょう。

ポイント3:優先度をつけて希望を伝えよう

絶対に実現したいデザインや機能について、優先度をつけて伝えることも大切です。すべての希望をかなえようとすると予算を超える恐れがあります。

テンプレートによっては、そもそも希望のデザインや機能が実現しないかもしれません。後から後悔しないように、早期に伝えるようにご留意ください。

WordPressサイト制作のご相談ならランサーズ

今回の記事では、WordPressの基本的な仕組みや導入の手順などについてご案内しました。WordPressは、専門知識がなくても本格的なサイトを実現できる大変便利な仕組みです。導入コストも、ゼロから構築する方法に比べて低く抑えられることが多いです。サイト構築をお考えであれば、WordPressの活用はおすすめです。

ただ、WordPressは、Wixなどのホームページ制作サービスや、Amebaブログなどのブログサービスに比べると、制作のハードルがやや高く、専門家のサポートが必要なこともあります。特に本格的なサイトを作るときには、外部への制作依頼も選択肢に入ってくることでしょう。お困りの場合には、WordPressに精通したフリーランスの多いランサーズのご利用も検討してみてください。